
埼玉県坂戸市に「聖天宮(せいてんきゅう)」というお宮があります。
聖天宮は、中国や台湾の三大宗教のひとつ道教の宗教施設です。日々の道徳を重んじ、善行に報いる最高神「三清道祖」がご本尊として祀られています。
三清(さんせい)は、道教の最高神格のこと。「太元」を神格化した最高神元始天尊と、「道」を神格化した霊宝天尊(太上道君)、老子を神格化した道徳天尊(太上老君)の三柱。
農業地帯で車を走らせていると、こちらの建物が突如として現れます。その違和感たるやハンパじゃありません!
開祖は、台湾出身の康國典大法師(こうこくてんだいほうし)。康國典大法師が造り上げた聖天宮は、細部までこだわった素晴らしい建物です。
埼玉にある台湾の世界を一緒に体感していきましょう!
聖天宮の由来
聖天宮は、日本国内に現存する道教のおみやとして最大級の規模を誇ります。天界の悠久の宮殿を思わせる豪華絢爛な建物。
ところで、なぜ国内最大規模を誇る道教のお宮が埼玉県坂戸市のど田舎にあるのでしょうか?
もちろん、台湾出身の康國典大法師と坂戸市との間には何の縁もゆかりもありません!
これには摩訶不思議な話がありますのでご紹介したいと思います。
開祖の康國典大法師は、40歳半ばにして不治の大病を患いました。だが、聖天宮のご本尊にもなっている三清道祖と縁起をもち、一命を取りとめたのです。
病は無事に完治し、深い感謝の念を抱くようになり、たくさんの人々が神様のご利益をあやかれるようにと自分でお宮を建てることを決意しました。
そして、建造の地を探していたところ、生まれた国の台湾ではなくて日本の坂戸にとお告げを授かったとのこと。
一般には〈神のお告げ〉を指すが、厳密には〈神の言葉〉をいう。神託を得る方法は、民族により、宗教によってさまざまに異なるが、共通して、夢、占い、瑞祥(吉兆)、供犠の動物の内臓の形状、天変地異、動物の鳴き声などをあげることができる。
(写真:何もない聖天宮周辺の様子。)
聖天宮という名をはじめ、佇まいや方向などに関してもお告げがありました。当時は、正面の道も最寄りの東武東上線若葉駅もありません!雑木林を一から整地し、昭和56年に着工にいたりました。
台湾から一流の宮大工を呼び寄せ、15年の歳月をかけて、平成7年に聖天宮はようやく完成しました。
現在も聖天宮の周辺はあまり開拓されていません。本当にお告げがなければ、ここに立派な宗教施設を建てる理由は見つからないでしょう!
数々の美しい建物
私は、あまり台湾の文化に触れたことがありません。横浜と神戸の中華街で似たような雰囲気を味わったことがあるくらいなもので。
だから、聖天宮は自分にとって台湾文化に触れることができる貴重な場所なのです。実際に、足を運んでみると、数々の美しい建物に魅了されます。
神様や皇帝の建造物にしか使われない、黄色い屋根瓦と龍は遠くからでも目を惹きます。
色使いの鮮やかさと精巧な彫刻が特徴的!
至るところに龍の彫刻や飾りがあります。その龍の数は5,000にも及ぶという。
1万以上の部品を釘なしで組まれた天井。
透し彫された5メートルもある一本の石柱。
4メートルもある1枚の板から彫られた扉。
日本のお寺や神社とは、雰囲気がまったく異なります。聖天宮は、面白い観光スポットです。
聖天宮のご利益は?
聖天宮のご本尊「三清道祖」は人間界の運勢を司る道教最高位の三神です。
【道徳天尊のご利益】
【元始天尊のご利益】
【霊宝天尊のご利益】
お線香の煙に願いを託すと天に伝わるとのこと。内容を事細かに伝えるとご利益があるそうです。
最後に
聖天宮は、数年前まであまり有名な観光スポットではありませんでした。
しかし、最近では観光雑誌に載ったり、テレビで取り上げられたりして、徐々に知られてきました。
休日になると、コスプレイヤーで賑わうこともあるとのこと。
聖天宮の美しい建物や彫刻の数々は確かに見る価値があります。
【聖天宮】
ジャンル:観光,お宮
住所:埼玉県坂戸市塚越51-1
TEL:049-281-1161
料金:300円(団体割引有)
時間:10:00~16:00
アクセス:東武東上線若葉駅から徒歩30分
駐車場:あり(無料)
参照:聖天宮の公式ホームページ