もはや「ノームコア」がファッションの定番化した理由。

2014年あたりから「ノームコア」というファッション用語をよく耳にするようになりました。

「ノーマル(normal)」と「ハードコア(hardcore)」を組み合わせた造語です。

筋金入りの普通」という意味があります。

人目をひく最先端のファッションで個性を主張するのはかっこう悪い。

人混みに溶け込むような平凡でごく普通のファッションがかっこいい、という価値観が市民権を得るようになったのです。

ノームコアは定番を探すということ

ノームコアの代表として挙げられているのが、アップル創業者のスティーブ・ジョブズです。

ほぼ毎日、スティーブ・ジョブズは同じファッションに身を包んでいました。

  • 黒のタートルネック(イッセイミヤケ)
  • ジーンズ(リーバイス 501)
  • グレーのスニーカー(ニューバランス 991)
  • 飽きなくて機能的で美しい。自分だけの制服をつくりたいと思い、たどり着いたのがこのスタイルです。

    フェイスブックのCEO、マーク・ザッカーバーグも常にグレーのTシャツや黒のパーカー、ジーンズを身にまとっています。

    前者は禅の「コツコツと積み重ねていく」という言葉に感銘を受け、後者は「決断の数を減らす」ためにファッションをシンプル化しました。

    自分の定番を探すことができれば、ファッションがノームコアになるのはごく当たり前のことなのでしょう。

    また、ミニマリストやモノを持たない暮らしが注目され始めたのも、ノームコアが定番化した理由のひとつだと思います。

    ファッションのルールをつくる

    私も、完全にノームコア化しています。

    毎年のように移り変わるトレンドを追いかけるのに疲れました。何を買い、何を着ればいいのか?について悩むのも面倒くさいのです。

    だから、必要なモノだけを残し、持ち物を少なくしました。

    無地のTシャツやパーカー、ジーンズが定番。ファッションは、靴や帽子で変化をつけて楽しむようになりました。

    パンツや靴下の所有数を決め、定期的に全部捨てて新しいものに入れ替えます。

    スニーカーを買うときは、いま使っているモノを売ってから新しいモノを買う、なるべく数を増やさないようにするための工夫です。

    このようにルールをつくり、自分なりのスタイルを確立し、オリジナリティを加えて楽しんでいます。

    ファッションで自分を表現する必要はない

    ファッションは自分を表現するツールになりますが、ファッションで必ずしも自分を表現する必要はないのです。

    究極の普通のファッションに身を包んだスティーブ・ジョブズの振る舞いは普通とはかけ離れています。

    「iPhone(アイフォーン)」や「iPad(アイパッド)」などメガヒット商品を世に送り出し、私たちの生活に革命を起こしました。

    仕事に対する情熱や周囲の人に対する非常な態度、常識に捉われない考え方は多くの若者に影響を与えています。

    スティーブ・ジョブズのような強烈なインパクトを持った人間がファッションで自分を表現する必要がどこにあるのでしょうか?

    最後に

    ノームコアは、本当に大切なことを考えるきっかけになりました。

    そして、ファッションよりも中身のある人間になるほうがよっぽど大事なことだと多くの人が気付き始めていると思います。