
私が小さい頃には、すでにスーパーファミコンやゲームボーイといったゲーム機が普及していました。けれど、遊びといったらまだまだ外遊びが中心でした。
鬼ごっこや遊具などを使って遊んだりもしましたけど、私の場合は、公園に集まってきたメンバーでサッカーをやることが多かったです。
そこにグループや年齢、性別は関係ありません!実際、大人や高校生も混ざってサッカーを一緒に楽しみました。
ゲームの中で成功や失敗を繰り返しながら成長できたのは私にとって大きな糧になっています。
サッカーの技術が磨かれただけでなく、創造性や判断力、社会性などもそこで培われました。
そんなわけで、私は日本に生まれながらにして、ストリートサッカーを楽しめる環境で育つことができたのです。
ストリートサッカーの重要性
ブラジルやアルゼンチンなどの南米諸国と日本とでは育成環境が大きく異なります。とりわけ違うのがストリートサッカーの存在です。
日本では、少年団やスクールでしかサッカーをしない傾向があります。室内で遊ぶ機会が増え、放課後、公園に集まってサッカーをする子供たちの姿を見かけなくなりました。
一方、ブラジルやアルゼンチンでは、友達を集めてストリートで遊びながらサッカーをします。そう、サッカーは習い事ではなく単なる遊びなのです。
学校にいる時間以外は、ストリートサッカーに興じる文化があります。
サッカーをする時間が必然的に増えるので、ボールにタッチする回数や1対1などの局面が多くなり、どんどん上手になっていきます。
ストリートサッカーが盛んに行われる環境があれば、子供たちは遊びながら学ぶことができるのです。
子供が大人から技を盗む
技術は、人から人へ伝達していくものです。これは、サッカーにも当てはまるでしょう。
私は、子供たちとサッカーをする時にシザースやエラシコ、フットサル特有のアッカなどのフェイントをあえて使います。ヒールリフトやラボーナをやることも珍しくありません。
ブラジルやアルゼンチンでも大人と子供が一緒にストリートサッカーを楽しみます。その中で、子供は大人のプレーを見ながら、勝手に技を真似て盗み上達していくもの。
子供が変なプレーをするようになったら困るじゃないかという批判を受けるかもしれませんが、子供たちが自発的にどうやったらできるようになるのだろう…?と考え、頭や体を使うことは悪いことではないと考えています。
見て覚えるということが技術を習得していく上で重要なのです。大人が子供に無理強いする必要はありません。
ストリートサッカーは、大人が子供たちのお手本になることができる素晴らしい環境なのです。
勝ちにこだわるメンタリティ
繰り返しになりますが、ストリートサッカーには年上や大人など年齢やレベルが違う人と一緒にボールを蹴れるというメリットがあります。
しかし、大人と子供では体格が全然違うので、同年代とやる以上にテクニックや球際の巧さ、駆け引きなどが必要になるでしょう。
それが刺激となって、高い技術を持った選手が誕生するわけです。
特に、南米の選手は日本の選手より勝ちに強いこだわりがあります。だから、どうすれば大人に勝てるかを自然に考える癖が身についているわけです。
ストリートサッカーの中で駆け引きを繰り返していくうちに、相手を出し抜く術や勝ちに強いこだわりを培っていきます。
私もそうやって、相手の動きを見極め、逆をつくプレーを身につけました。ストリートサッカーがなければ、負けず嫌いな性格にならなかったかもしれません。
【参考記事】サッカーは試合で学ぶ!ミニゲームやフットサルで身につく技術は本物。
最後に
日本でストリートサッカーを楽しむ環境を作るのは、とても難しいと考えています。広場の減少やグラウンド確保、騒音による苦情など問題がたくさんあります。
でも、ストリートサッカーのような遊びのサッカーをする環境が必要であることは間違いないでしょう。
少年団やスクールの一部で、子供が親や大人と一緒にミニゲームを楽しめる時間を設ける意義は十分にあると思います。
自由な環境でこそ柔軟性は養われます。ストリートサッカーは、たかが遊びですが、されど遊び。遊びの中で自発的に学ぶことが私は大切だと考えています。